歴史物の楽しみ方

<歴史物は名作ぞろい>
歴史を題材にした小説・漫画って色々ありますね。
漫画だけに対象を絞っても「ヒストリエ」以外にも、おかざき真理「阿・吽」、原泰久「キングダム」、灰原薬「応天の門」などなどが連載中。取り扱う地域、時代、人物それぞれ違って面白いです。
正直言って、「阿・吽」なんて空海や最澄が主役の漫画ってそれって面白いの?って最初は思いましたが、これがめっちゃ面白いんですね。キングダムなんかも、現実を逸脱するというか、バケモノ級の武将がわんさか出て来る派手な展開が大好きです。
こういうのに、鎧を着た兵士をそんな簡単に何十人も切れるかい!!とかいう突っ込みは野暮かなと思います。ああ言うのは漫画を面白くするための一つの表現です。レトリックなので素直に楽しんだ者勝ちなんです。
歴史物って楽しんでいるうちに勝手に知識がついたり、歴史に興味を持ったりするところもいいですね。教科書で単語や年号を覚えようとしても、どうしてもしっくり頭に入ってこない。それが物語だとストーリーとしてすんなり頭に入ります。ただの点と点だった単語や年号が線になったり、もっと奥行きを伴ったものとして心に残ります。

<ネタバレという宿命>
歴史小説・歴史漫画がそれ以外のジャンルと大きく違うところに「ネタバレしやすい」ということがあげられます。
キングダムで言うと、秦が天下を統一するのはみんな分かっています。李牧が非業の死を遂げるのも歴史の事実なので、歴史上でちょっと名の知れた人物であれば、いつどんな死に方をするかはWikipediaを見ればわかります。
歴史上の人物、出来事を扱ってしまっているため、登場人物がいつどんな形で死んでいったのか、戦いがどんな結果に終わるのかを調べようと思えば誰でも調べられるんですね。超有名な人物であれば、自分で調べようとしなくてもうっかりネタバレを見てしまうこともしばしばです。
もちろん物語には作者の創作も入っていますし、見る人によっては解釈が異なっていたりはするのですが、あまり極端なストーリー変更は難しいのです。
例えば、関ケ原の戦いでは東軍が勝たなければいけませんし、武将が女体化してはいけません。合戦に戦車やヘリが乱入してきてもいけないのです。それをやってしまうと、歴史IF物や異世界物のような別のジャンルのお話になってしまいます。
最初から歴史IF物や異世界物という前提で読み進めている分には全然問題ないのですが、途中からジャンルが変わってしまっては読者は混乱してしまいます。
大河ドラマを見ていて、織田信長が本能寺の変で死なずに生き延びたりしたら視聴者は大混乱ですものね。
物語を面白く描くために、歴史上名も出てこないような人が脇役として登場することはありますが、大きな会戦の結果を変えたり、歴史に名を残した人物の生死を変えることは難しいです。歴史上の人物であるヘファイスティオンが誰かさんのもう一つの人格って設定には正直ビビりましたが、ヒストリエにしてもこの辺りで限界かと思います。
この先の展開の大枠が分かった状態で、登場人物がその事実に対してどのようにアプローチしていくのかを見るという楽しみ方をすることになります。
NHKの大河ドラマなんて、完全にこのパターンですね。明智光秀が起こす大事件なんて誰でも知っています。視聴者の中には「あの明智光秀が主君を裏切るなんて。。。」みたいな人は(ほぼ)いない訳です。みんな知っていて見ています。
歴史の事実を知ってしまっているからといって、楽しめない訳ではない。同じ人物を描いた話でも描く人の視点や描き方によって異なってきますので、そのあたりが味わいどころですね。
ジャンルは全然違いますが、刑事コロンボや古畑任三郎でのシリーズでは毎回冒頭で犯罪が起きて、そのシーンを視聴者は目撃することになります。
ただ、犯人が誰で概ねどうやって犯行をおこなったかは分かっているものの、トリックのすべては見せない。
視聴者と違って何も知らない主人公がその問題を一つ一つ解き明かして真実を突き止めていく。「ネタバレ」が前提となってストーリーが組み立てられていきます。
結果が先に分かってしまう「ネタバレ」があったとしても、面白いものは面白いです。

<ネタバレはありか?なしか?>
ついつい調べてネタバレ情報を見てしまう「ネタバレ上等派」と、絶対ネタバレ情報は見ずに雑誌の連載や単行本が出るまで待つ「ネタバレ回避派」と大きく2つに分かれると思うのですがみなさんはどちら派でしょうか?
私は前者の「ネタバレ上等派」です。
なかなか連載が進まないので、その間に色々と自分なりに調べて楽しんでいます。
「ネタバレ回避派」も多いと予想しますので詳しくは書かないように気を付けようと思いますが、エウメネスの人生は波乱に満ちていて、今後作者がどう描いていくのかこの先が本当に楽しみです。
ネタバレ上等派の楽しみ方として、この先への伏線か?と思える表現があったりして、それを見つけるというものもあります。
細かい表現が散りばめられていて、繊細な描かれ方に関心します。
これが「ネタバレ回避派」だと、だいぶ後になって単行本を読み返したときに気付いたりするんでしょうね。それはそれで面白いかもと思うのですが、私は待っていられない質なので、ついついネタバレ情報を調べてしまいます。
あとは、登場人物の名前が分かった瞬間に、その人が有名人だった場合は大体何やった人か分かってしまいます。「こいつ、ダメなやつじゃん!!」とか、「そんな大胆なことができるタイプではなさそうなのに。。。」とか一人で勝手にあれこれ考えるというのも楽しみ方の一つ。
ただ、古代ギリシアって同じような名前の人が結構出てくるので、名前だけで判断するとそれを使って作者にものの見事にミスリードされることもあります。

<歴史物の味わい方>
なんと言っても物語には過去に実在した人物が登場し、実在する地名が登場します。
人物の方は当然ながら全員お亡くなりになられていますがお墓があったりします。建物なんかだと物によっては現物が残っていたり、再建されていたりします。
想いさえあれば当時の人達が生きた空間、雰囲気を自分も味わうことができます。足りない分は想像力で補いましょう。
コロナ過が終わったら、聖地巡礼なんていかがでしょう。
私は飛行機が大の苦手なので、とりあえずは高野山あたりにもう一度行ってみようかなと思っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました